2月のはじめにオーダーしていたお道具箱が「BOX&NEEDLE」さんから届いた。外側は赤、内側は鹿児島睦さんと前田景さんのオリジナルペーパー「FLOWERS IN THE DARK」を選んで作っていただいたのだけど、想像以上にかわいくて、思わず「うわあ!」と声が出た。
きのう、仕事から帰ると、机の上に段ボールがひとつ置かれていた。差出人の名前を見て、一気にテンションが上がる。いつものようにペリペリと、雑に開けそうになるのをグッとこらえて、ひとつ深呼吸。よしもとばななさんの『王国』で、大切にしたいものほど出会いを大事にしたほうがいい、包みを開けるときもゆっくり丁寧に…みたいなことを学んでいたので、まずは机を拭き、手を洗った。カッターでおそるおそる封を切り、そうっとそうっと取り出す。待ち焦がれていた赤いお道具箱を手にしたとき、幸福というのはこういうことだろうと思った。

幸福といえば、もうひとつ思いつくのが20歳の鼻歌だ。彼はとにかく歌うのが好きで、体調や機嫌がすこぶる悪いとき以外は、いつでもどこでも何かしらを口ずさんでいる。急に熱唱しはじめたり、外から歌声が聞こえてくるなぁと思ったら自転車で帰宅した彼だったり、エピソードには事欠かない。もちろん、ときにはうるさいなぁ!と言いたくなることだってある。けれども、鼻歌が聞こえてくるのは彼が心身ともにすこやかだってことで、そう考えると、これもやっぱり幸福なんだよなぁと思う。時間がかかっても、多少の不都合があっても、うれしいなぁ、よかったなぁ、楽しいなぁ、好きだなぁ、心地よいなぁがうわまわること。わたしにとっての幸福って、そういうものなのかもしれない。
今朝もトイレから調子はずれの鼻歌が聞こえてくる。
