小さな違和感と永遠のテーマ

小さな違和感と永遠のテーマ

「言わなくてもいいこと」っていうのは絶対にある。厄介なのはそれが人によって違うってことだと思う。わたしはそれを言わなくていいって思うけど、あのひとはそう思わない。むしろ「言うべきこと」って思ってる。そういうすれ違いがしょっちゅうあって、場合によっては諍いが起きるんだろう。何を言い、何を言わないか。これはもう永遠のテーマなのかもしれない。

わたしは出版区というチャンネルの本ツイ企画が好きだ。ゲストに1万円をわたして書店についていき、どんな本を買うかその様子をみせてもらう。わたしはそれが企画の本筋だと理解していて、予算内で本を買うだけではなく、最近どんなことに興味があるか、普段どんな本を読んでいるか、好きな作家のおすすめ作品はなにか、みたいな雑談のなかから、ゲストの人となりまで垣間見えるのがこの企画の大きな魅力だと思っている。たしかにそう思ってはいるんだけど、近頃公開された回については少し違和感があった。すごくおもしろかったし、ざっとみたところコメント欄は絶賛の嵐だし、そう感じているのはわたしくらいなのかもしれない。

そのゲストは、とにかく本が好きでたくさん本を読んでおられて、聞く人が思わず手にとって読みたくなるような魅力的な紹介をされる方だ。知識や情報量の多さ、本の魅力をわかりやすく伝えるスキル。どれもすごい。でも……なんというか、わたしにはご本人が準備されてきた内容や行動が、企画の主旨から大きく外れているように思えて、途中から集中が切れてしまった。これが本の紹介動画だったら、きっと最後まで楽しくみれただろう。けれども、ゲストがあれこれ話しながら、今どんな本を買いたいと思っているのか、それはなぜなのか、迷ったときにどちらをとるのか、そういうのがみたくてこの動画をみていた視聴者としては、「これはなんかちょっと違う」だった。もちろん、盛り上がり方によって話が思わぬ方向にいってしまうことはよくある。それが結果的におもしろいコンテンツになる場合だってあるだろう。でも、おもしろければなんでもいいかと言われたら、わたしはノーなんだなと、今回あらためて実感した。

その違和感は公式に物申したいほどではないし、ましてや番組やゲストのことを悪く思っているわけでもない。けれども、確かに抱いた違和感については残しておきたい、なかったことにはしたくないなと思って書いてみた。新たな発見もあったので、書いてよかったなと思う。