もう少しで咲きそうなカモミールの花と小さな家出

もう少しで咲きそうなカモミールの花と小さな家出

「せっかくだから、いい1日にしよう」と思っていたんだけれど、いや思っていたからこそなのかな、合計3時間の小さな家出をした。きっかけなんてちょっとしたことだ。9時をすぎても起きてこない夫が、実はその前の晩おそくまでアニメや動画を観ていたことを18歳に聞いたから。20歳を朝早く駅に送ることが、自分にはまったく関係のない他人事だと思っているんだな。うすうす気づいていたけれど、そんなもんかと思った。

休みくらい代わりに行ってきてほしいと思っているわけじゃない。仮に、明日は自分が行こうかと言われたら、気持ちだけ受け取ってゆっくり寝ていてと言う。わたしはただ、家族に関することを他人事のように扱われるのが嫌なのだ。その時点で、わたしへの配慮や思いやりのようなものの発露は望めないから。それがとても残念で、がっかりした。もっとざっくばらんに言うと、やってらんねーなと思った。それで、簡単な支度をして出かけることにした。小さな家出だ。

わたしが家出をするときのルールとして(自分の)、最も大事にしているのが歩いて出ること。本気のとき(まだ経験がない)はそれなりの準備や荷物が必要だろうから徒歩以外の手段も考えなくちゃいけないだろうけど、ちょっとしたものなら歩くのがいい。なぜなら、体を動かすことで頭が冷えてくるから。外の空気を吸っていれば、いやでも気分が変わる。晴れわたる真っ青な空と、まぶしいほどの緑のなかを歩いているうちに、たかぶっていた気持ちが少しずつしずまっていく。図書館に着く頃には、すっかり凪いでいた。

心地よい風が入ってくる窓辺に席をとり、百人一首の本を探す。ひさしぶりに観はじめた『ちはやふる』がやっぱりおもしろくて、きちんと解説された本を読んでみたいなと思ったのだ。大岡信さんと白洲正子さんの本を持って席に戻る。大岡信さんのほうから読みはじめる。おもしろい。

借りてきた百人一首の本

ハッと気づいて時計を確認したら、家出から3時間くらい経っていた。機内モードを解除すると夫から連絡がきていた。いくつかやりとりをしたあと、車で迎えに来てくれることになって、わたしの小さな家出は終わった。家出に至った理由は、夜、サラッと伝えた。

小さなハーブ園は今日もにぎやか

数日前にもう少しで咲きそうだねと話していたカモミールの花が、今にも開きそうな気配をみせている。小さなハーブ園では、今日もミツバチたちが忙しそうに飛びまわっている。