ちょっと行ってみたいところがあるんだけど…と夫に誘われ、2時間近いロングドライブの末にたどり着いたのは東京都日野市だった。日野市を訪れたのはおそらくこれがはじめて。もしかしたら、どこかへ行く途中に通り過ぎたことはあったかもしれない。今回の目的はもちろん(もちろんってこともないけど)古着だ。
ゴールデンウィーク期間中、日野市にある古着屋さんの卸倉庫が一般開放されるということで、どうしても行ってみたかったのだそうだ。倉庫前には緑色の風船が飾られ、色とりどりのTシャツやシャツが並べられていた。楽しげな音楽が流れ、人々がにぎやかに集う。さながら青空市のようだった。
18歳が古着にハマり、どんどん知識を身につけ(うんちくとも言う)、ほうぼうへ買い物へ行くようになってからというもの、20歳も、夫も、まんまと影響を受けまくっている。お出かけというと必ず古着関連の用事がくっついてくるくらい、彼らの熱量はすごい。顔を合わせれば服の話、リビングに集まれば古着の動画鑑賞会がはじまる。楽しそうでなによりだなと思う。
2時間ほど(!)かけて買い物したあと、このあたりでごはんを食べようということになり、近くのイオンモールへ。わたしたちが暮らす街にはイオンモールというものがない(イオンはあるよ)ので、その大きさとお客さんの多さにびっくりした。ここでだいたいの用事が済むんじゃないのというくらい多種多様な店があって、さまざまな人たちが気楽な感じで楽しんでいる。
この街に住む、見知らぬ人たちの、さまざまな暮らし。メインの通りはここだろうか、この公園ではきっと人々が季節の移ろいを楽しむんだろうな、同じ制服の学生さんが多いということは近くに高校があるのかもしれない、この街路樹はとても大きいからずっと昔からここで人々の生活を見守っているのだろうな。はじめての街ではいつもそんなふうに想像したあと、なぜだか胸がぎゅうっとなる。嫌なぎゅうっではなくて、大切なものを見てちょっと泣きたくなる感じの。おそらくこの感情を言葉にするなら、センチメンタル。
お昼ごはんを食べたあと、ミスタードーナツやビアードパパなどに寄って手土産を買い、帰路についた。

家に着くと、カモミールの花が風に揺れていた。
