麻雀牌柄のアロハシャツとドゥービー・ブラザーズ

麻雀牌柄のアロハシャツとドゥービー・ブラザーズ

朝起きて、昨晩できあがった麻雀牌柄のアロハシャツが目に入っても、なんだか心がときめかない。これを着て早く出かけたいという気持ちにならない。理由はわかっている。着てみたら、微妙に丈が長かったのだ。

アロハシャツの型紙には、18歳と20歳の名前が入った折り目と印がある。それぞれ体型や好みの丈が違うから、要望を聞いたうえで、簡単にできる調整をして作っているのだ。最初に使っていた型紙は18歳とわたしの好みが同じで、20歳は少し長めだった。新しい型紙で自分用のシャツを作るのは今回がはじめてだけど、おそらく18歳と同じ丈でいけるだろう。そう決めつけて確認しなかったのがよくなかった。丈が1cm違うだけでも印象が変わると知っているはずなのに。

コーヒーを飲み干し、気合を入れて裾を解く。理想のできあがり線から必要な数字を算出してカットし、アイロンで折り目をつけ、忘れないようにメモする。そうして完成したシャツに腕を通してみると、キラーンと音が出そうなくらい理想的な長さに仕上がっていた。ようやくテンションが上がった。

急いで支度をして、夫婦プラス18歳の3人で行きつけの古着屋へ。18歳はレコードを見たいといって近くの店へ行き、わたしと夫はぷらぷらと歩きながらお決まりのコースを見てまわった。夫は、わたしが掘り出したブラックサバスのTシャツやブラックデニムを購入。合流した18歳は、古いファミコンのカセット(コレクション用)と、ドゥービー・ブラザーズのレコードを買っていた。

ジャケットに惹かれてYouTubeで聴いてみたら最高にかっこよかったそうだ。

帰りの車中は、古い音楽やカルチャーの話で大盛り上がり。帰宅早々、夫がウィリアム・エグルストンの古い写真集を出してくると、18歳が目を輝かせて最高にかっこいい!!!と興奮していた。好きなものを起点に世界が広がる。その瞬間を目撃した気がした。