雨に濡れるヤマボウシと『弱いヒーロー』

雨に濡れるヤマボウシと『弱いヒーロー』

きのうは仕事も予定もない完全なるオフだった。ほんとうなら映画を観に行ったり、喫茶店に行ったりするつもりだったけれど、残念な気持ちをぐっとこらえて家でのんびり過ごすことにした。こういうとき、観たくなるドラマがいくつかある。なんていうんだろうなぁ、これを観れば心が落ち着くみたいな、お守りのような作品。わたしにとってそれは、『À Table!』だったり『リトル・フォレスト』だったり『舞妓さんちのまかないさん』だったり『名建築で昼食を』だったりするんだけれど、きのうはなんとなくどれも違う感じで(なかには今観れないものもいくつかある)、なぜかものすごくバイオレントな『弱いヒーロー』を観はじめてしまった。

そこにはいじめとかいうレベルではなく、次から次に起こる極悪犯罪が描かれていて、ひとことで言うとクソだった。作品がクソなのではなくて、作品内で描かれている世界がクソ。次々と出てくる悪党どもの蛮行に反吐が出たのはもちろんなんだけど、傷を受けた者が闇に落ちていく様子も同じくらいきつかった。それなのに結局シーズン1を一気に観てしまい、今はシーズン2の途中だ。

きのうの夕方から降りはじめた雨が今朝もまだ少し残っている。雨に濡れるヤマボウシの花はいつもより白く、美しく見える。緑はいちだんと濃く、深まる。18歳は高校の頃の友達といっしょに古着や雑貨を見に行くと言って出かけた。洗面所からはドライヤーの音とご機嫌そうな鼻歌が聞こえてくる。20歳が勉強前の身支度をしているのだろう。夫が作業をしている部屋ではVaundyの「まじで、サヨナラべぃべぃ」が流れている。なんということはない日常、なんということはない土曜日。コーヒーをもう1杯飲んだら、夫を誘ってポイント20倍のドラッグストアに行こう。