ボタンホールと春雷

ボタンホールと春雷

今週分の原稿はすでに書き終えていたので、朝からアロハシャツ作りに取りかかる。袖をつけ、裾の始末をする段になって、接着芯をはった前見返し部分の端の処理をしていなかったことに気づく。このまま進めると縫い目がむき出しになってしまうので、力技でなんとかごまかした。

本体をすべて組み立て終わったら、次はいよいよボタンホールだ。これまで、ワンピースやワイドパンツ、スカートなど、自分の服を何着も作ってきたけれど、ブラウスやシャツのようなボタン付きのものは極端に数が少ない。だから、毎回ボタンホールをあけるときは、えーっとどうやるんでしたっけねってところからはじめなければならない。今回も動画をみて記憶を呼び覚まし、なんとかあけることができた。それにしても始点が難しいんだよなぁ。コツをつかむまで、ハギレで練習する必要がある。

最後はボタン付け。いつも我流で付けていたけれど、今回はクローバーのサイトで紹介されている方法を参考にしてやってみた。馴染みのやり方を貫き通すのもよいし、新しい方法を試してみるのも楽しい。わたしは、試したうえで自分に合うほうを選ぶのが好きだ。

完成したアロハシャツ第1号(後ろ側)

完成したアロハシャツは、おもいのほかよい出来で、いい型紙に出会えてよかったなぁとあらためて思った。自分が好きな形の服を、自分が好きな布で作れるのが、ホームソーイングのよいところ。無理をして7万円でミシンを買った若い頃のわたしに、グッジョブ、あなたの選択は大正解だよと伝えたい。

大学から帰宅した18歳が早速試着をして、「これはおれのもの」と宣言し、「袖をもう少し短くしたい」と言い出した。まあきっとそうなるだろうと思っていたので、苦笑いしながらどのくらい短くするか相談し、縫い直す。再度腕を通し、「あ、最高だわこれ」と満面の笑み。

急に外が暗くなってきた気がして窓の外に目をやると、黒い雲がすごいスピードで広がっていた。そのとき、遠くのほうで、ほのかに赤みを帯びた春雷が光った。